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2021 Days series 

Days serirs

 

2018,8,20から「デイズ」と題したドローイングにナンバーを付け連続して制作している。

100枚ごとに製本し計1000枚で完結する計画である。 子供が3ヶ月になった頃絵を再開しようときめた。

絵を描く気持ちを一度除けて置いた心の中が子供が出来たから描けなくなったのだろうかと。そう思う気持ちの始まりが嫌だった。

1枚の紙と1本のペンだけあれば絵は描けるのだからと。

 

眠った子供の隣で膝を立てながら胸の近くでペンを走らせた。

「描ける、描いた、描いたぞ」特別な面持ちだった。 ただ今の描けるものを描こう。 自分の描いた物への判断はやめる 画材を簡単にする。 キャンバスを一定の大きさにする。

そんな事を思い描き始めた絵を「デイズ」と題し連続する事にした。

DAYSを描いていく中で 今まで絵を描いてきたのに、これからも描いていくのになぜ絵を描くのか、何を描いていくのか、絵を描く事で自分に何が出来るのか。

知りたい思いは疑問に辿り着いたまま混沌となり、その混沌が制作を持続するうえでもどかしさになった。

DAYS以前に思っていた抽象を追求してみたいという思いはそのままに制作を再開した。

それは頭の中でこんな風にというイメージへ向かうと、とたんに歯車の位置を変えてしまうようなヘンテコになった。

だからできるだけ何をきめこまずに描くようした。

線をタランと落とす。 そのうち線の行き先や力加減、濃淡などに目をやりながら目で追っていくだけにして頭の中は薄ぼんやりと思想する。制作が進む頃、予測しうる範疇を線や形が逸脱していく。描く事で絵からの驚きがありイメージが増殖する。そんな頃絵に対し心が解放してくるやり方が心地よく感じた。 薄ぼんやりした頭の中では無秩序というよりも多くの意識が過去に向いているようにも感じた。忘れられない事や後悔や願いの多くが過去に向いていた。 私に絵を描かせる、私が絵を描く時の心や頭の中が過去の大小に息づいていた。過去の中に潜った自分や他人の中から声がしてお話を聞いたり、お話をしたりしている感じがして。

私は絵を描く行為を通じて心の中で絡まって固まってしまった記憶の塊を紐といていっているのではないだろうかと考えるようになった。 明るい絵や、パワーのある、あるいは。 誰かの為になれるような絵になれたら良いなと考えた事があった。結局その時は何か答えが出せたわけではなく、それでも自分の心に素直でなければ、明るく振舞っても意味がないからとまた自分の心中を描いたと思う。 それなら存分に聞いて、存分に心の塊を紐といていこうと考えた 今は思いっきり独りよがりをしてみる。 おもいっきり自分の心を観察して自分の気持ちに向き合ってみる。

それを繰り返しているうちに、きっとまた変化していく。内面の観察に満足するまでやってみようと思った。

内面を描く事に満足して絡まった糸が紐解かれた後は。もっと外側や自分以外の人や物や今や未来に対して自然に目を向ける事が出来るようになれるのではないだろうか。 AMANOKAWA WORKS 子供の1歳の誕生日に自身のアトリエ兼ギャラリーとしてアマノカワワークスをオープンした。

神戸は中山手。北野坂の一本外れた異人館街に位置し山が近い。近くに小磯良平さんのアトリエ跡地がある。

跡地は公園になり「アトリエ跡地」と立て看板がしてある。 小磯良平さんもこのような風や空気を感じながら絵を描いたりしていたのかな~。なんて思えたりするわけです。 アトリエは外壁に伸びた急階段をあがった2階。築56年の白くて三角状の建物。一階はイタリア料理屋さん。オープンしてから1年間は内装のやり直しや作品の整理、またコロナウイルスの流行から緊急事態宣言の発令、体調の変化などによりアトリエを開けるには不安定な日々が続く。 けれど今の私にとっては絵で繋がれる場所。絵を観てもらえる場所。制作の拠点。 この場所と共に。

ここからまた始まっていくのだという気持ちで過ごしています。 まだまだ未熟なアトリエですが、 足を運んで下されば、とてもうれしいです。

2021.6

泉 阿弓

NO1,10,20,30,40,50,60,70,80,90,100

NO.101.110,120,130,140,150,160,170,180,190,200

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